こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。
9月1日は「防災の日」ですね。8月30日~9月5日は「防災週間」です。
この時期に避難訓練をしている学校や職場も多いことと思います。
今回を含め全4回のブログでマンション管理組合の防火管理業務について説明いたします。
主に今回は「防火管理者の選任」についてお話します。
手始めに「防災の日」の由来を知っておきましょう。
なぜ9月1日が「防災の日」なの?
9月1日が「防災の日」とされたのは1960年(昭和35年)の閣議だそうです。
その由来は1923年(大正12年)9月1日の「関東大震災」。
またこの時期は台風シーズンの直前でもあります。
「伊勢湾台風」は1959年(昭和34)年9月26日ですね。
国民が防災意識を持ち災害発生時の準備を整えるべく「防災の日」が創設されました。
マンションにも防火対策は必要
耐火性の高い鉄筋コンクリート造とはいうものの、マンション火災はしばしば発生しています。
多くの世帯が集まって一つの建物内で生活し、室内にはキッチンも家電製品もあるし可燃物もたくさん。
ゴミ置き場は放火の危険性もあるし、置き配が邪魔になり避難に支障が出る危険性もあります。
いったん火災が発生すれば被害が多くの住戸に及んでしまい、避難の方法も戸建てと異なります。
自分・家族・ご近所さんの生命と財産を守るためにも、管理組合として防火対策に取り組んでいく必要があります。
名古屋市内のマンションのゴミ置き場です。連結送水管がゴミに埋もれ、段ボールもヒモで束ねられることなく雑然としています。
名古屋市内の火災の原因はタバコと放火が上位です。
9月1日は防災の日です。共用部分の再チェックをしましょう! pic.twitter.com/rP6KrTcPT3
— 深谷高史(マンション管理士・税理士) (@hidamarimz) August 26, 2021
理事長さんは管理権原者
マンションという建物も防火対象物の一種類です。防火対象物の用途区分として、「共同住宅」に分類されます。
マンションの共用部分の管理は管理組合によって行われており、管理組合の代表者は理事長です。
消防法上、理事長は防火管理の最終責任者であり、「管理権原者」と呼ばれます。
理事長は最終責任者として防火管理業務の担当者に対し必要な指示・命令を行い、火災発生を予防するとともに、火災発生時には被害を最小限にするために様々な対策を行う責任があります。
防火管理業務の担当者は「防火管理者」と呼ばれます。
管理権原者と防火管理者は防火管理上の不備で死傷者を発生させた場合等は刑法上・民法上の責任が追及されますので責任感をもって職務に当たらなければなりません(過度に不安にならなくてもいいのですが名義貸しは絶対ダメです)。
防火管理者の選任の義務
消防法上、一定以上のマンションについて理事長は防火管理者を選任する義務と、防火管理業務を行わせる義務があります。
収容人員50人以上のマンションは「非特定防火対象物」に該当し、防火管理者を選任して所轄消防署へ届け出なければなりません。
防火管理者になるための資格には甲種と乙種の2種類があります。
延べ面積500平方メートル以上は「甲種防火管理者」、500平方メートル未満は「乙種防火管理者」の資格者から選任します。
資格取得の方法は防火管理講習の修了が一般的です。
甲種の講習は2日間、乙種の講習は1日かかりますので、甲種の方が大変ですね。
防火管理者を選任しなかったら?
防火管理者を選任しなければならないのにそれをしていない場合、「防火管理者選任命令違反」として懲役6か月以下又は50万円以下の罰金に処せられます。
それだけでなく届出や監督を適切に行わなかった場合も罰則がありますので、理事長さんはご注意ください!
収容人員50人未満のマンションは選任義務は無いのですが、所轄消防署から選任するよう口頭での指導がある場合があります。
消防法上の義務ではないとはいえ、居住者の身を守るためには重要ですのでぜひ選任したいものですね。
良好な住環境づくり、資産価値の向上にも役立ちます。
次回へ続きます
今回は管理権原者と防火管理者という2種類の登場人物について学びました。
管理権原者は防火管理の最終責任者であり、通常は理事長さんです。
防火管理者は防火管理業務の担当者であり、理事長さんによって選任されます。
収容人員50人以上のマンションは防火管理者を選任して所轄消防署へ届け出る義務がありますのでご注意ください。
次回は「防火管理者の業務」について説明いたします。