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マンション管理
【速報】機械式駐車設備の指針が一部見直されました

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。

近年、機械式駐車設備の老朽化等により事故が多発しています。
こうしたことから2021年9月30日、国土交通省により「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」について一部見直しがなされました。
今回のブログではその概要についてお伝えします。

 

機械式駐車設備は便利だけど危険

分譲マンションは都市部の好立地に建設されることが多く、共用部分である敷地は限られています。
駐車設備として利用できる敷地も広く確保することは難しいため、横の方向(地面)ではなく縦の方向(空間)を活用することになります。
機械式の立体駐車設備は限られた都市空間を有効利用するものとしてメリットがあるのです。

しかし、自動車という重量物を上下させて保管するため、動力を用いた機械を用いることとなり保守点検も日常的な操作も高度な注意が求められます。
マンションの機械式駐車設備については、マンション管理組合が専門業者に保守点検を依頼し、マンション居住者が日々の暮らしの中で利用します。
区分所有者も居住者も専門知識を持たない人がほとんどですから、事故が発生しやすいと考えるのが自然だと思います。

 

2021年9月の指針見直し

もともと3年前の2018年、国土交通省により「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」は策定されました。
マンション管理組合やビルオーナーといった機械式駐車設備の管理者が活用するための指針です。
機械式駐車設備に関する専門的な知識を有していない管理者が、保守点検事業者が行う点検内容・点検周期が適切かどうかを確認したり、契約書の点検内容・点検周期の参考とするためのものです。

最近2021年9月30日国土交通省より「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を一部見直しと発表されました。
この改正には近年、機器等の交換が実施されなかったことによる重大事故が多発している社会的背景があります。
例えば、自動車を乗せるパレット(駐車台)が落下した事故は、ワイヤロープの破断やモーターの不具合が原因でした。
メーカーが推奨する定期交換時期を超えて使用されており、原因は部品の経年劣化です。

日常的に支障なく使えていれば、管理組合は支出削減のために部品の定期交換を延期したいと思うのはよくあることです。
しかし事故が発生すれば物損だけでなく人身へも危害が及んでしまいます。
こうした背景から、保守点検項目の見直しによって部品交換が推奨されています。
例えば「保守内容」として「ワイヤロープの稼働年数・稼働回数・運転時間の何れもが基準内か確認をする」という項目が追加されています。

 

操作ミスによる重大な事故も

維持管理が適切に行われていたとしても、操作ミスや安全確認の不足により死亡を含む重大な事故が起きています。
装置内に人がいるのにそれを確認せずに操作してしまったり、稼働中の装置内に子どもが立ち入り挟まれてしまったりと、ひとたび事故が発生した場合には痛ましい事故となります。

都心部の時間貸し駐車場であれば専任の取扱者が利用者の誘導や装置の操作を行います。
しかし、マンションの駐車設備は無人の場合がほとんどです。
利用者は安全意識が高い人から低い人まで様々です。
「事故にはならないだろう」と酒気帯びで操作する人もいるかもしれません。
したがってマンション管理組合としては、区分所有者やその家族への教育訓練を定期的に行い、正しい使用方法と見えない危険性について理解を求めていかなければなりません

 

次ブログに続きます

国土交通省は機械式駐車設備の重大事故情報を公表していますが、死亡や重傷といったひどい大事故です
とくに子どもが犠牲になっている事故はいたたまれなく悲しいものです。
マンション内での事故を防止することは、管理組合として取り組まなければならない業務にほかなりません。

今回のブログでは、近年に多発している「機械式駐車設備の事故」と「国土交通省による指針の見直し」について説明しました。
次回のブログでは、「管理組合・理事長・監事の責任」「機械式駐車設備のコスト負担」「利用者が少ない場合の解決方法」について解説していきます。

最後までお読みいただき、いつもありがとうございます m(__)m
2021.10.20記

この記事を書いた人

陽だまりマンション税務事務所/代表・深谷高史(ふかやたかし)
一般社団法人愛知県マンション管理士会 理事
東海税理士会刈谷支部 所属

マンション管理士、税理士、マンション管理組合理事長の3つの顔を持っています。分譲マンション管理組合の税務申告を得意としています(携帯電話基地局など)。このサイトでは、マンション管理、税務、FPなどについてできるだけわかりやすくお伝えしています。

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